
絵コンテ:そ~とめこういちろう、長濵博史
演出:下司泰弘
作画監督:安彦英二
第七話『日照る雨』
その女は、雨を告げながら旅をする。蒼天から注ぐ雫が呼び起こす女の過去──それは幾粒の涙でも償えぬ数奇な巡り合わせ。

『雨を占って差し上げましょうか』

『あと2日もすれば恵みの雨があるでしょう』


『降ってきたー!』


『こりゃ一滴も落ちてきそうにないな』

『あの、もし。ここらで水場を知らないかな』

『なら数日この地に留まるといい。じき雨が降るでしょうから』


(雨の…ニオイ)


『ご安心ください、じき天の恵みがあるでしょう』


『テル、よく来てくれたな』

『ヤス…』


『水を分けちゃくれないか』

『悪いが今は。でもじきに雨が降るよ』

『あの娘が言うならそうなんだ。今まで外れたことがない』

『そいつは奇異だ』


『あれは逃げ水だ。絶対追いつけないんだ』


『また雨が降ったら行っちまうのか?』
『ええ』

『ここで俺と所帯持つより女一人で旅をして暮らす方がいいってのか?』

『言ったでしょう。一つ所に住む気はない』

『どうしてだ』

『ごめん…なさい』


『留まる事にしたんですか?』

『私は雨を告げに来ているだけよ』
『人が雨を降らせたりできると思う?』

『まぁ、普通そうだ』

『でしょう。それができたら…もう人ではないわ…』






『一体この雨はいつ止むのだろう』

『りょうちゃん!りょうちゃ…』




(大声で泣きたいのに、涙がでない…)

『しばらくおばさんが預かってくれるそうだ』

『もう食べる物がないんだ…』




『あの娘の里…雨で廃れちゃったんだろ?このままじゃ…』





『元に戻ってる!』



『嘘よ…そんなわけ…』


(どうしてこんな事になったのか、わからない)

(わかるのは戻れる故郷も住める所もないということ)

(その事を受け入れるための涙も出ないと言う事…)





(どうしたのかしら。いつもならもう…)



『もうみんな水を使い果たしちまったぞ!』

『大変だ!ヤスが!』

『雨はまだなのかい!?』



『もうそんなのは…嫌』





『よかった…な』


『望み通り雨が降ったってのに嬉しそうじゃねえな』

『この数日あんたを観察してて気付いたんだが』

『アンタは汗の一つも見せなかった。おそれく涙も出ないんじゃないか?』

『涙の一つでも流せればまだ楽でしょうね』

『じゃあ、追いつけるはずのない物を捕まえちまったことは?』


『ねえ、あの水逃げてかないよ』

『ほら、もうすぐそこ』





『やっぱり逃げ水だったんだよ』


『それはアメフラシという蟲の一形態だ』

『普段は空中を漂う水滴の様な一群で、雨を作って落ちてくる』

『そして蒸発する水とともにまた上空へ上り雨を集める』

『だが、水分が失われると地表近くにとどまり逃げ水のような姿となる』

『生きていると言う事以外は自然現象そのものだ』

『そういうものをナガレモノという』

『アンタを中心に体内の水分を奪い、上空へ上り雨を集める様になったんだ』

『早くソイツを引き離してよ。こんなのはたくさんよ!』

『ナガレモノには対処法はない。ただいずれ寿命が尽きるのを待つのみ』

『だが雨が降るのが遅くなっていると言うのなら、力が弱まっているのかもしれない』

『この雨のせいで私は何人もの命を奪ったのよ。さっきだって…』

『ただ不幸なめぐりあわせが起こっただけだ』

『だがあんたはある程度アメフラシと上手くやれてる』

『これはもうただ不幸なばかりじゃないはずだ』

『テルー』

『ありがとうなあ!テルのおかげで助かったよ』

『また絶対来いよなあ』

「いつか雨が止んで本当の涙が出たら」

「土の上に根を下ろそう」

「それまでは」

「雨をともに 雲のように流れて行こう」



『妙な雨だな』
『でも綺麗だねえ』


みんなの感想

アメフラシに憑かれた、テル。かわいそうだけど、最後は希望のあるEDでよかった。早く土のうえに根をおろすときが来るといいよね。昔は忌み嫌われた能力だけど、今では降らす雨に感謝したり、癒しを与えることができるんだから。

「雨がくる虹がたつ」は虹を探して降る雨を追う男の話だったけど今回は降る雨から逃げる女の話。どっちもナガレモノのが原因で地に根を下ろすことが出来ず蟲がどうにもならない存在だと知りどう生きるか決心するってのが良いね。
今週ほんとに何もしてないな!w
蟲師の収入源って何なんだろう
化野先生かな
∧_∧
( ´・ω・)
┌/:::::::/ ̄ ̄ ̄/
旦 \/ /
( ´・ω・)
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旦 \/ /
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