第6話「拾因の眸」





『フン!フン!』


「本日のゲストは今大人気のロビンちゃんです」

『カ…カワイイ…カワイイですね!』

『うん…そうだね』

「ニャー」
『あっ、鳴きましたよご主人』
『うん…鳴いたね』

『あー…ご主人見てください、のたうち回ってますよ』
『うん、のたうち回ってるね』

『ハァ…もうかわいすぎて食事も喉を通りません!あーむ』

『ご主人、ゼロは決めました。猫を飼います。いいですよね?ご主人』
『ダメ』

『ええっ!なんでダメなんですか?』
『嫌いだから』
『えっ!』

『ウソ…信じられない!あんなにカワイイのに!猫が嫌いだなんて、ご主人は人でなしか何かですか?人は猫の動画を見て癒やされることで、つらい仕事にも耐えられるんですよ』
『陰謀だね』
『えっ?』
『きっとどこかの権力者が定期的に猫の動画をリークしているのさ』

『ええっ』
『人は猫の動画で癒やされているようで、実は闘争本能を奪われ、馬車馬のように働かされているんだ。権力者の都合のいいように』
『あっ。ご主人、ウソはいけません』
『え?』
『ご主人、このバッジいつもつけてますよね?これは猫…』

『猫っぽい何か…ですね』

『そのとおり。それは猫じゃない。ゼロ、俺はね。生き物を飼うのが嫌いなんだ』
『じゃあこれは…』

『猫は飼えない』

『…分かりました』
『ごめんね』
『いえ。仕方ないです』

『そういえば、このバッジって何なのですか?大切なものなんですか?』


『そうだね』




『イン!返事しろよ!聞こえてるんだろ?さっきからそうやっていったい何考えてんのさ?』
「家族」
『えっ?』

「家族について考えていたのさ」

『あ…あんた、家族いたのか?どこで何してるの?』
「分からない。もうこの世にいないから。僕は彼らを守れなかった」
『なんで?インが弱かったから?』
「僕は誰よりも強かっただろうね」
『努力が足りなかった?』
「僕はたぶん誰よりも努力したよ」

『じゃあなんで?』

「それは…僕が誰よりもバカだったからさ」

『あっ…』
「ヨウ。賢い人になれよ」



「ヨウ」
『あっ』
「僕がやる」


『俺だってインの役に立ちたいんだ!ほら、もうナイフだってラクトできるようになったんだから』
「ダメだね」

『どうして?』
「まだ早い」
『えっ?』

『あっ』

『くっ!』


(ったく…いつまでも子供扱いして。俺だってもう一人前の…)
『あ…』

『あっ!』

『冒険家か…モンスターを狩ろうとして相打ちってとこかな』

『あっ』



『大丈夫だよ。怖くない。ほら』


「クンクン…」


『名前をつけてやらないとなあ…トト!』
「キャン」
『お前も気に入ったか?満場一致だ。今日からお前はトトだ』

『おお…』


「ずいぶん懐いているね」
『あ…おかえり』
「拾ったのかい?」
『う…うん。あっ…飼ってもいいよね?』
「ああ。いいよ」

『わあ…よかったなトト』



『動くなよトト』

『イテッ!ああ…』

「キー、キー、キー」

「俺がやろう」
『ん…』
「何を作っているんだ?」

『バッジ。こいつの』
「クンクン…」

「キッ!」


「分かった」


「できたよ」
『ありがとうイン』

『これでよしっと』


『あっ…え?』

「プレゼントだ。その代わり、これは俺がもらうよ」



『このバッジは拾因さんが作ったものだったんですか』

『それは大切なものですね』
『うん。それくらいだからね、インが残してくれたものは』
『それからトトちゃんはどうなったんですか?』









『トト』


『ほらトト』

『ハァ…ったく、怖がりなんだから。うわっ!』

「キッ?」


『ぶはっ!』

『えっ?』

「キーッ」

『うわっ!おっととと…』

『や…やめろトト!ハッハハ!やめろトト!』



「キー!」

『えいっ』


『おおー!』


『ナイスキャッチ!』

『えっ?』

『トト?』

『あっ!』

「キーキー…」

『ああトト…待ってろ、今助けてやるからな。あっしまった!』
「ギー!」
『おっおい誰か!イン!助けてー!』





「おーい誰か!」
『あっ』
「誰か助けてくれ!」

「おい誰か!誰かいないのか!クソ…あっ」

「おー!助かった!」

「これが取れなくなっちまって」

「ギギッ」

「すまんな、何か道具を持ってないか?」
『なんでそうなったの?』
「えっ」

「歩いてたら急にな。誰が仕掛けたのか知らないけど、まいったよ」
『自分で仕掛けたんでしょ?』
「えっ…」

『マグメルの生物はそんなワナに引っかかるほどバカじゃないよ。お金を稼ごうとしたんじゃないの?』

「あっ!お…おい!勝手に触るな!」

「うう…おい!聞いてんのかコラ!あっ!」

「ああっバカ!それ50万エスク!」

「ああっ!」

「ふ…ふざけやがって!」

「おとなしく言うこと聞いてりゃよかったのに」

「さあ、さっさとこれを外すんだ!」

「おい!聞こえてんのかこの野郎!」

『俺を撃ったらそれを外せないけど?』
「うるせえ!さっさとやれ!」
『誤解してるようだけど、あんたのこと嫌いなだけで。助ける気はあるんだぜ』

「早くしろ!」
『やれやれ』
「ハァ…ハァ…」
『ちょっと待っててね』

「ハッ…うっ…何だ?こいつ…あっ」

『トト?』


『ハッ』



『あっ…あ…』


「あっ、うわあー!」

『あっ…』


『そっ…それで…その後、どうなったんですか?』

『殺したよ』

『ハッ…』



『あ…』

『なんで?どうして…あっ』


『トト!』



『あ…イン?』
「血を吸ったか」
『え?』

「人間の血を吸うと化ける」
『ええっ!あっ』
「そういうモンスターなんだ。トトは」


『元に戻す方法は?』
「ない」
『えっ!』
「覚えておけ、ヨウ」

「これがマグメルだ」

『あ…』


『え?あっ…』


『待って!俺にやらせて!』
「できるか?」
『うん!』

『あっ…イン!』




『ああっ!』

『あっ』

『クソ…うう…』

〈大丈夫だよ。怖くない〉


『うう…くっ…』



『あっ…』

『トト!』

「よくやった」
『分かってるよイン。これがマグメルだって』

『あっ』

「ヨウ。君のせいじゃない」
『えっ…』

『イン!』

『それが初めて倒したモンスターだったんだ』
『えっ』
『殺さないと殺されちゃうからね。マグメルは』
『ご主人…』

『ごめんねゼロ。ペットを飼うのはもう少し待ってもらえるかな。いつか平気になる時が来るまで』
『ご主人…あっ…お客さんです。断りましょうか?』
『ううん。通して』
『でも…』
『いいから』


「ルカちゃんがいなくなっちゃったの」



『ご主人』

『大丈夫だよ。ルカちゃん、きっと見つかるから』

「ホント?」

『うん。じゃあ行こうか、お客さん。どこに隠れてるのかな?猫さん』
「ルカちゃん、犬」
『えっ?』
「犬なのルカちゃん」
『ああ…ごめんごめん』

『そ…そうですよご主人。どう見ても犬です』


ゼロちゃんも一瞬言葉を失ってしまう程の悲しいペットエピソードになんとも言えない気持ちになってしまったな。そして最後の小さい依頼主さんがかわいかった。これがマグメル…。
2019/05/12 22:29:28



『“魔のオクタゴン”。同空域内で起きた一連の戦闘機および武装ヘリの墜落事故について。地上から何らかの攻撃を受けたとの情報もあるが、いずれのケースも墜落した機体は見つかっておらず、事故当時の状況も不明のままである』
『次回“原住者”見るべきです』

つぶやきボタン…
帽子のバッジにはそんな意味が…!手作りだったんだ
拾因はあえて見守ってくれていたのか
拾因の教えどおり因又は賢く育った、のかな
でも出会いとか明かされてないしまだまだ謎が多い
次回、キャラ再登場で話が動きそう?
拾因はあえて見守ってくれていたのか
拾因の教えどおり因又は賢く育った、のかな
でも出会いとか明かされてないしまだまだ謎が多い
次回、キャラ再登場で話が動きそう?
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群青のマグメル 6話 感想
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コメント…2019年春アニメについて
-
- 2019年05月13日 19:52
- ID:lbPlEE0B0 >>返信コメ
- これがマグメルか…
-
- 2019年05月13日 19:57
- ID:dlAYUB690 >>返信コメ
- 冒頭かわいかった~
-
- 2019年05月13日 20:02
- ID:lwBg31Cl0 >>返信コメ
- 個人的には因又の過去話とゼロが猫を欲しがったのを無理矢理に結び付けた感じが否めない。…普通の猫とマグメル産のモンスターを同列扱いしてどうする。(只単に因又個人のペット飼いに対するトラウマだと思うけどな…)
先週・先々週も引っくるめてやっぱり自分はこの作品の世界観はこれ以上は楽しめそうにないので今回で止めようと思います。すみません。
-
- 2019年05月13日 20:23
- ID:r.E8aoN.0 >>返信コメ
- タイトルにあった「眸」要素はどこ……?
-
- 2019年05月13日 20:31
- ID:isi6PS940 >>返信コメ
- やっと原作に入るのか!?
-
- 2019年05月13日 20:54
- ID:qML4jc620 >>返信コメ
- 先週のおっさんに謝罪はしないの?
-
- 2019年05月13日 21:17
- ID:WJ8HzOZW0 >>返信コメ
- トトは青年になるまで幼児体形のままで相手を油断させる
その後一気に戦闘に向いた体形に成長し、以後ほとんど老化しない
-
- 2019年05月13日 21:41
- ID:v0uYwphC0 >>返信コメ
- 前回でだいぶ離れたよなぁ…
あんな糞みたいな話やらなきゃよかったのに
-
- 2019年05月13日 22:05
- ID:ddnNOfVh0 >>返信コメ
- 前前回、意味が解らず、前回、僕の嗜好に合わなかったので、もう見るの辞めようか
と思ったけど、ZEROちゃんが「見るべくです」と言うから見た。
前前回、前回よりは、内容が理解できた。ネタとしては「血をなめて巨大化」だけだけど。
M・A・Oさんは見た本人の目もかわいいし、上級国家公務員から童女のZEROちゃんまで、
色々な役もやる、凄い声優さんだ。多数のアニメに主要な役で出てるのに、川柳少女の
「女子C」みたいな端役までこなす。こういうの、花澤さんとかなら考えられない事だ。
-
- 2019年05月13日 22:53
- ID:Iuq1DaTQ0 >>返信コメ
- 話がやりたいことはわかるけど、「血を舐めたら凶暴化するから気をつけろ」と言えばいいのにと思う俺は無粋なんかな・・・
マグメルの危険性を教えるために仕方なかったのかな
-
- 2019年05月13日 23:37
- ID:WYJYR5Cq0 >>返信コメ
- 原作の漫画けっこう好きで期待してたんだけど心が折れそうだ
アニオリなしでもっとテンポ上げられないものか?
-
- 2019年05月14日 00:04
- ID:j68OSLTJ0 >>返信コメ
- >>11
個人的な感想なのですが、あの子血を舐めるまではすごくいい子で舐めさせなければ全然普通の犬猫に思えたのですが
逆に言うと、そうして相手を油断させて、血を舐めさせた瞬間不意打ちで捕食する生物なのかな、とか
なので元々共存が難しく、いきなり殺せでは理解できないし納得もできないので、自然とそうなるまで見てたのかな、と
-
- 2019年05月14日 00:20
- ID:OZ33NUGe0 >>返信コメ
- >>11
同じこと思った
ちゃんと警告したのに主人公が「絶対血を舐めさせたりしないから」って言い張って飼って
それでも不可抗力で凶暴化させちゃって後悔する……とかにすれば良かったのに
-
- 2019年05月14日 01:02
- ID:EKfUbemK0 >>返信コメ
- ルカは空港で自分のシャベルをぶち込まれて意識不明に・・・
ルカは組織の犬だった・・・
-
- 2019年05月14日 01:20
- ID:Yp1j8o7Y0 >>返信コメ
- 大人の事情が入り混じってるよなぁこの作品
-
- 2019年05月14日 02:17
- ID:Z797XqGS0 >>返信コメ
- 壁のないツリーハウスに住んでる意味がわからん
描くのが楽だから?
-
- 2019年05月14日 03:00
- ID:Q0jNyJRx0 >>返信コメ
- 最初に危険性を教えておくだけで防げた悲劇
-
- 2019年05月14日 05:39
- ID:I7.FJnkp0 >>返信コメ
- 一気に成長しすぎた…
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- 2019年05月14日 07:26
- ID:QoZaxiIG0 >>返信コメ
- H×H1話とグレムリンを足した感じかな
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- 2019年05月14日 07:52
- ID:J2tN8Ofx0 >>返信コメ
- こう言う話には弱いのだよ俺は
つか言っとけよインさん
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- 2019年05月14日 09:14
- ID:PRdf5KGo0 >>返信コメ
- これがマグメル・・・と言いたかったんじゃないかねインは、多分この程度、日常茶飯事の世界なんだろうな。そうなるともういちいち「血を舐めさせるな」とか言わなくなるんでしょうね反面教師的部分があったのかもね・・・・それにしてもコメント数激減だねWWWおじさん、また登場して欲しいわ
-
- 2019年05月14日 10:23
- ID:o24f5zq.0 >>返信コメ
- >>14
その方が話としてはスムーズだよね
原作は見てないから知らないけれどこれが原作通りなら改変した方がよかったろうなと
それはそうと師匠っぽい人がどっかの血小板な人っぽい
-
- 2019年05月14日 10:31
- ID:21O0VNLW0 >>返信コメ
- マグメルの生物を殺すのはよくて捕まえて売るのは許せないってこと?
この主人公、自分には甘くて他人にはめちゃ厳しいな
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- 2019年05月14日 10:34
- ID:3h6vHTvs0 >>返信コメ
- 原作だとインヨウとシュウイン同一人物で時空が交差する複雑な設定だけど
アニメの二人はどういう関係になってるのか?
次回エリン出すならストーリーが広がるけどクーは出るのか?
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- 2019年05月14日 11:07
- ID:3h6vHTvs0 >>返信コメ
- 帽子自体はシュウインの思い出の品だけど
猫バッヂは不思議アイテムだと常々思ってはいたんだよ
それにエピソードを加えて過去話にしたのかな?
アニメオリジナルでふたりの関係性を掘り下げてくれるのはいいけど
細かいツッコミどころが多いのはもうそういう芸風なの?w
猫っぽい生き物が可愛くないのがマグメル!
-
- 2019年05月14日 14:59
- ID:3UPQsP110 >>返信コメ
- そこらへんがなんとなくマグメル!!
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- 2019年05月15日 01:48
- ID:b0AFKBiO0 >>返信コメ
- なんかずっと右の角を曲がり続けて進んでない感じがするんだよな
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- 2019年05月15日 13:16
- ID:9dYGAhpk0 >>返信コメ
- >>28わかる。
なんかこう、ランナーのいない三塁に牽制球を投げまくっている感じ。
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- 2019年05月15日 13:25
- ID:rJvhcLOV0 >>返信コメ
- コメ減ったなぁ
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- 2019年05月16日 01:44
- ID:NT2TWcCg0 >>返信コメ
- いやー原作と違い好ぎて困惑するわ
どう進むんか逆にわからん
OPにクー出てないし、出る望みは薄そう…
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- 2019年05月18日 19:58
- ID:M2eiov.d0 >>返信コメ
- 言いたいことは分かるがもうちょいやりようがあっただろって雑さはもう作風として諦めるしかないのかねw
こういう良い話風の回を見せられるとマジで先週はなんだったのって思いが沸々と湧いてくる
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- 2019年05月19日 00:43
- ID:195wzjDE0 >>返信コメ
- >>31
ここでトトって名前使っちゃうのも大困惑だよな
意味があるのだろうか?
…コメントについて…
※お気軽に、どなたでも書き込みOKです。
※「>>〇」「※〇」のようにコメント番号を指定することでアンカーの指定が可能です。
※コメントの書き込みが出来ない等の不具合報告やコメント削除依頼は、コチラより一言頂けると有難いです。
※お気軽に、どなたでも書き込みOKです。
※「>>〇」「※〇」のようにコメント番号を指定することでアンカーの指定が可能です。
※コメントの書き込みが出来ない等の不具合報告やコメント削除依頼は、コチラより一言頂けると有難いです。
川柳少女
忘れてる?