第11話「冬のラグビー観戦には、ありったけの防寒を!」
『靖也おいで』
『いいものあげる。手出して』
『……』
『何か言って。っていうか念のために言っておくけど嫌がらせとかじゃないよこれ。おまじないだからね』
『本当ですか?』
『怒りたいけど今まで自分の態度が酷かった自覚は確かにある』
『でも今回は違うよ。これはタヌキ』
『タヌキ?』
『僕が現役の時に願掛けで手に描いてたんだよ。”他を抜く”ってね』
『初めて知りました』
『靖也には秘密にしてた。どうしてか分かる?』
『ライバルのお前に僕のおまじない知られたくなかった。現役の時 僕はお前が怖かった。今にも抜かされそうで』
『本当…ですか?』
『本当だよ。でも勝ち逃げしたけどね。だから僕には一生勝てないよ!残念でしたー!』
『でも勝ち逃げしたお詫びにこれ靖也にあげる』
『絶対大丈夫。僕これ描いてダメだった日ないから』
『わぁー!夏さんが後輩に嫌がらせしてはるー!試合前にー!』
『ちょっと違うから!』
『……』
『真行寺、今日は風もないしいい勝負できそうだね』
『夏紗ずっとあんな感じなの?ほらこの前新幹線で会った時みたいな』
『はい』
『そっかぁ。なんか普通にしてるんだけどすごい違和感あるんだよねぇ。やっぱりウチの大学に来ればよかったのに。そうすれば僕が色々フォローしてあげられたのになぁ』
『ほら、お前たちって2人でいてもあんまり話さないこと多いじゃん?もしくは夏紗が1人で話してるって感じで。だからちゃんとフォローできてるのかなって』
『仲がいいから無言でも平気なんですよ、円さん』
『わぁビックリした。いつからいたの?』
『今です。ホントにちょっと目を離したらすぐ清一郎をいじめて』
『いじめてないじゃん。それよりも伊吹 今日は怪我に気を付けてね』
『えー、弟さんそんなヤバいですか?』
『今日朝”羊可愛い”って言ったら”え?伊吹殺害?”って聞き返されたくらいにはヤバい』
『言葉の落差がすごい!』
『ま、お互い頑張ろう』
『あれ?イライラしてる?』
『大丈夫です。伊吹さんが突然辞めた時ほどイライラしてません』
『えっ!?そんなレベルでイライラしてたの!?』
『してました。夏が殴り込みに行かなかったら俺が行こうと思ってました』
『怖い!ほんっとに昔っから何考えてんのか全然分かんない!夏紗でよかった!』
『伊吹さんって案外鈍感ですね』
『清一郎さんは案外ナイーブですね…』
『大成』
『マコさん俺…』
『頼んだよスターティングメンバー。お前は僕の自慢の後輩なんだからな』
『おいテーピング』
『はい。夏紗さん呼んできますね。多分今清一郎さんの…』
『お前にして欲しいんだけど』
『えっ?僕ですか?でもまだ本番ではしたことなくて…』
『いやこの前練習でしてもらったとき調子良かったし…』
『で、では僭越ながら…』
『いやそんな緊張することじゃねぇけど』
『えーっと…』
『そんな正確じゃなくていいぞ』
『いけません。テーピングの安定はメンタルの安定です』
『なんだそれ?』
『僕の名言です!』
『お前の名言なんだ…』
『はい!』
『もう言うことは言ったしすることはしてきた。しかしここでもう一度確認する』
『この試合に勝ち 俺たちは全国に行く。いいな!?』
『はい!』
『Who are we!』
『堂紫社!』
『みんな待って』
『勝ってね。僕のヒーロー』
『うーん、いい感じ』
「黄風院10番 ノット・リリース・ザ・ボール」
『よし!』
『スーさんさすが!』
『あっぶな!』
『もうちょっと!』
『いけっ!』
「ノックオン」
『伊吹、高校の時から言ってるだろ。俺に逆らうな』
『何してる!』
『イーサンやめろ…』
『伊吹さん 大丈夫でしょうか?』
『鳩尾に入っちゃったね…』
『チッ、ノックオンなんかしてんじゃねぇよ』
『厳しい!』
『おい伊吹 大丈夫なんか?』
『僕が大丈夫じゃないね。さっさとスクラムで潰すよ』
『主鷹さん スクラム入らないんですね』
『10番とポジション入れ替わるみたいだね』
『黄風院さんこんなことするの初めてです』
「セット」
『つまり徹底的に伊吹先輩を潰すってことですね』
『もう14点差も…』
『感情的に見えてかなり合理的だね。小鳥のパス回しはまだ未熟、イーサンもパス苦手』
『それでも回るのは伊吹の技術のおかげだけどそれをここまで潰されたら…』
『フォワードとバックスが完全に噛み合わなくなります』
『コイツ!』
「トライ」
『冬馬さすがだったね!よくできました!』
『はい』
『何あの選手?見たことないけど』
『1回生です。リーグ戦は今日が初めてで全くノーマークでした。高校ではバスケしてたみたいです』
『バスケ?』
『円さんの怖い所はプレーだけじゃないんです。バックスの育成能力なんです』
『僕はもちろん円さんに育てられましたし、清はなぜか円さんと仲悪かったですが間接的に指導されてました』
『円さんと高校時代被ってない靖也でさえ夏休みとかに帰ってきた円さんに練習見てもらって』
『気に入った人がいれば他の部活からも引っ張ってきたりしてました。大学でもしてたなんて…。だから円さんが入ったチームはバックスの実力がものすごく上がるんです』
『思った以上にヤバいですね…』
(全然何もできない…。俺なのか?俺のせいなのか?)
(俺が…俺が何とかしないと!)
「ラグビーするの?絶対無理でしょ」
「お前がもっと男らしければな」
『そんな小さな体なんだからいい加減 自分の適性を知りなよ』
(ふざけとうとか!俺が何とかするったい!)
「ノックオン」
『す、すみません…』
『落ち着け。大丈夫だ』
『切り替えていこう!』
「黄風院ボール」
『興醒めだな伊吹。期待外れだ』
『なんだ?邪魔だチビ』
(くそっ!くそっ!)
『小鳥ちゃん』
『はっ…』
『やったー!』
『石神先輩好き!』
『俺が引きつけるからお前がトライしろ』
(そうだ、小さいからって小さいことを乗り越える必要はない!)
(だって俺は小さいからここまで来れた!こんなんだからできることがある!)
(見返してやる!俺を馬鹿にしたヤツを全員見返して言ってやるんだ!)
『ざまぁぁみろぉぉおおおお!』
『やった!』
『騙されたー』
『調子に乗るな』
『なんかすごい睨まれてるよ?夏紗何したの?』
『何って拓先輩の言う通りにしただけですけど』
『あぁ無駄無駄』
『でもいくら小鳥でも可愛がってくれてる拓先輩がちゃんと説明すれば…』
『ダメダメ。小鳥はもうこの段階だと人の言うことなんて聞かないから』
『そうですかねぇ…』
『僕たちのポジションって複雑な性格の人多いよ?体格ありきでなるから僕みたいに割り切れてる人間はいいけど、実は他のポジションやりたいとか思ってる人が大半だからね』
『小鳥は8番になりたかったんだよ。だからすごい攻撃したがるよね』
『だからそれが問題なんですよ。その変なプライド+拓先輩の抜けた穴埋めようとするプレッシャーも相まってもうメチャクチャになってます。このままだと試合で自爆します』
『いいんだよ。自爆させれば』
『えっ?』
『しかもどうせなら大爆発がいい。だから逆にガンガンに煽りなよ』
『え?煽る?僕あんまり人が嫌がること言うのは苦手なのに』
『僕ちょっと鼓膜も怪我したみたい』
『幻聴じゃないですよ 拓先輩』
『いい筋肉の躍動だったぞ!』
『もう、拓先輩のせいでめっちゃ嫌われたじゃないですかー』
『あはははっ!今更ー!』
『兄貴悪い。気を抜いた』
『いやいや。お前は伊吹をマークするって作戦なんだからあれでいいんだよ?』
『こんなことできるの1試合に1回だしね。あと…』
『真行寺のコンバージョン見れるし!』
『それが目当てだろ』
(頑張って!)
『大分に行って思ったんだけど清もルーティーン作ろうよ』
『ルーティーン?』
『コンバージョンの前にするお約束ってやつ。円さんにはあるでしょ。ポールに向かってニッコリ笑うの。あの有名な選手にもあるでしょ?』
『清も何か決めようよ。結構安定するらしいよ?』
『ならお前が笑え』
『僕が笑うの?清がコンバージョンする前に?』
『そうだ』
『おかしくない?』
『おかしくない。お前がしろ』
『まぁいいけど…うまくできるかなぁ…』
『試合までに練習しとけ』
『やっぱり演技指導するつもりだ…』
『アメンボ赤いなあいうえお!』
『なに?急に』
『口周りの筋肉を柔らかくしてます』
『夏紗さん鏡見ますか!?』
『い、いや大丈夫…!』
『見ると逆に緊張する…ってかマジで緊張する!どうしよう!?』
『お、落ち着いてください!スポドリいりますか!?酸素は!?呼吸整えてヒッヒッ…』
『だから一体何してるのって』
『変な顔』
『安定してるねー』
『よかったですね』
『うん』
『でも緊張で若干気持ち悪い…』
『どういうこと?』
(また同じ手には乗らない!)
「ハイタックル」
『ごめん郁斗。大丈夫だった?』
『う、うん…』
『ごめんね。この子ラグビー始めたばっかりで』
『冬馬!謝りなさい!』
『すみませんでした』
「今回は注意のみにします。次から気を付けて」
『上手いねぇ』
『ん?何が?』
『財津さんこういうの不器用だからなぁ』
『財津先輩』
『ん?』
『ショットさせてください』
『分かった。やってみろ』
『ショットでお願いします』
「ショット」
『えっ!?なに!?あんな所からペナルティーキック!?』
『大丈夫!?さすがの清でも難しくない!?』
『うるさいよ夏紗』
『うーん、綺麗だねぇ』
『入った…!』
『入りましたね!』
『優…』
『袋を…緊張で気持ち悪い…』
『えっ!?』
『は、はい!』
『よくやった!』
『ところで夏紗大丈夫なの?』
『うぇぇぇ…』
『ふっ』
『円さんさっきすみませんでした。なんかやっちゃったみたいで』
『全然全然。あの調子でいいよ。ドンドンいこう』
『ただもう少しタックル低く入れるかな?そうしたら完璧なんだけど』
『はい』
『オッケー。よろしく』
『お前逃げるな!伊吹ばっかり狙ってないで僕と勝負しろ!』
『お前は敵じゃない』
『What!?』
『お前みたいな技術もクソもないヤツは敵じゃないと言ってるんだ』
『Goddamn!』
『おいやめろ!』
『お前大和魂持ってないのか!?』
『イーサン落ち着け!』
『もうしつこいなぁ主鷹さん』
『本当に伊吹がとことんボールを持てないね。そのせいで攻撃が読みやすくなる』
「堂紫社 10番出血」
『見ろ』
つぶやきボタン…
黄風院との一戦は他大学との試合と比べると相手のレベルが違う感じ
円さんの戦略に主鷹さんのパワーもあってかなり押され気味な様子
堂紫社も小鳥君のトライ、清一郎君のコンバージョンが決まってるけど
それでも黄風院相手に11点差をひっくり返すのはちょっと厳しそう
伊吹先輩が出血したことも試合に影響してきそうで心配だったり
果たしてこの試合で勝利を掴むのはどちらなのか、次回が気になる
円さんの戦略に主鷹さんのパワーもあってかなり押され気味な様子
堂紫社も小鳥君のトライ、清一郎君のコンバージョンが決まってるけど
それでも黄風院相手に11点差をひっくり返すのはちょっと厳しそう
伊吹先輩が出血したことも試合に影響してきそうで心配だったり
果たしてこの試合で勝利を掴むのはどちらなのか、次回が気になる
number24 11話 感想
ヒトコト投票箱 Q. どちらかといえば… 1…おまじない派
2…ルーティーン派
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コメント…2020年冬アニメについて
-
- 2020年04月20日 10:15
- ID:.gtgNx7a0 >>返信コメ
- 試合になっても相変わらずめんどくさいw人間関係てんこ盛りでいいですな
-
- 2020年04月20日 10:58
- ID:wwweXa4v0 >>返信コメ
- 本物のドSは清一郎だった
よい笑顔だ
-
- 2020年04月20日 13:30
- ID:uEIHea.u0 >>返信コメ
- 💩BL🐘アニメ👊キ~ショ~イ~~~😱
-
- 2020年04月20日 13:39
- ID:uPkXXuPf0 >>返信コメ
- 11話も次の最終話もほんと良かった
もうちょっと髪・眼の色とBL臭さを抑えてくれたら
色んな人にお薦めできる良スポーツアニメだと思うんだけど
現実寄りの髪・眼にするとあの人数を描き分けるのは至難の技だろうからな~
-
- 2020年04月20日 16:18
- ID:ybBOUGVt0 >>返信コメ
- 電車のシーン、何であんなに密着してるんだよ、あの2人、すみっこで。
地味に笑ったわ。
-
- 2020年04月21日 14:52
- ID:QmNaGCO30 >>返信コメ
- わーっ!11話のまとめあった。嬉しい!管理人さん、ありがとう。
ノーマークのアニメだったのにどんどん好きになっていった。
ただ12話に収めるには人間関係が多すぎた気もする。
もう少し絞って欲しかったな。
-
- 2020年04月24日 18:28
- ID:UIQ6KnfO0 >>返信コメ
- 伊吹先輩ついに流血か~ますます大変そうだ…。
11点差も、野球ならキツいだろうけど、トライ一回5点・その後のゴール2点で7点だし、何とかなるっしょ!?
…コメントについて…
※お気軽に、どなたでも書き込みOKです。
※「>>〇」「※〇」のようにコメント番号を指定することでアンカーの指定が可能です。
※コメントの書き込みが出来ない等の不具合報告やコメント削除依頼は、コチラより一言頂けると有難いです。
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あの攻撃みたいなやり方ってわざとなのか?
必死に謝ってたがわざとらしい。
伊吹先輩、槍の勇者のコスプレ似合いそう。