第14話「依頼人」
脚本:菅原雪絵 絵コンテ:川尻善昭 演出:渕上真 作画監督:宮前真一・Kim Eun-seon・Lee Bu-hui
《俺の名は乾十三…》

《何?聞き飽きた?まあそう言うな。今回はいつもの依頼とは少しばかり事情が違う》

《何せ俺がこの稼業につくきっかけになった依頼が関係してるんだからよ》



『十三さんは戦時中ヴィクターと知り合いだったんすよね』
『奴は一時俺の専属技師だったのさ。いい奴だったよ。他の奴らが敬遠していた俺達エクステンドに対してもな』

『私達が孤児だったって話してましたっけ?2人とも整備士のエメットって人に引き取られたんすよ』

『おじさんは後継ぎが欲しかったみたいなんすけどヴィクターも元々器用だったんですぐ仕事を任されるようになったんす』

『それが…今思うとちょうどヴィクターが世に出始めたばかりの拡張技術に興味を持ち始めた頃だったっす。2人の仲が少しずつおかしくなっていったのは…』

『おじさんが荒れてることが増えて店もヴィクターだけで切り盛りするようになっちゃって…』



『多分拡張技術が気にくわなかったんでしょうね』

『それからしばらくしてヴィクターは私の前から姿を消したんす。私を1人置き去りにして…』

『まさかその親父をヴィクターがやったってのか?』
『その後従軍技師として戦場にいるっていう手紙が一度だけ届いてそれっきりだったんす』

『そもそも昔から私はヴィクターのことを分かってなかったのかもしれない…だからそれを確かめに行くっす』

『とにかくこれは私の身内の問題なんで十三さんがこの件に関わる必要はないっす』
『メアリー!』

メアリー『何すか?怒ったって駄目っすよ。十三さんはクリスや少年の救出…』


「お前がこの件に首を突っ込まずとも我々はいずれ対峙する宿命だったのだ」

「拡張処理などに身を委ねたことを後悔するんだな。乾十三!」


「さあデータを渡してもらおうか」

「気をつけろ。こいつを押せば仲間が人質を始末する手はずになって…」

「ぐわぁ!!」


「フン!」


「この程度か」

「神の摂理を歪めし者よ。対エクステンド戦用に開発されたこの義装皮膜には貴様らの人工筋肉にも用いられるダイヤモンド・ナノフィラメントの束が圧縮され織り込まれている」

「その数や通常の戦闘用拡張体の3倍。出力・強度共に貴様ごときに敵うものではない!」


「ぐわぁー!」

「し…島津…」
『ありがてえぜ。生身だってぇんで手心加える必要がねえってのはよ。こちとらてめえの不甲斐なさにどうにかなりそうだったんでな』

「化け物め…ひっ!」
『人質はどこだ?どこに隠した!』

「焦っているようだな」
『道理が通じねえテロリストに人質を取られてるんでな』
「はは!交渉などできると考えていたのか馬鹿め」

「エクステンドは存在自体が罪。踏みにじられた者達の怒りは必ず貴様らを滅ぼす。殺せ。脅しは効かぬ」

『フン。ハナから取引する気などねえさ。そっちもデータが欲しいならせいぜい人質を大切に扱うこったな』

『さもねえとてめえら全員俺の身内に手出ししたことをあの世で後悔することになるぜ』

『行くぞメアリー』

『行くって十三さんどこに行くんですか?』
『九星窟だ。どうせヴィクターを探しに行くんだろう。なら道行きは同じだ』

『俺にもあいつに確かめねえといけねえ事情があるのさ。何せ…俺にとっての初めての依頼なんでな』

『えっ?』
『ヴィクターからのお前を守れって依頼。それが俺が初めて受けた依頼だ』
『私を…守る?』

『そんなの一度も聞いたことないっすよ!』
『言う必要がなかったからな』
『なっ…ちょっと何すかそれ!?』

《僕の妹を…メアリーを守ってくれ》

『だがその依頼人が仲間と共にお前まで危険に晒し依頼を反故にするような真似をしやがった』

『何があったかは知らねえが事と次第によっては俺が奴の性根を叩き直してやらねえとな』

『鉄朗様を保護していたエクステンドの処理屋、乾…十三という名でしたでしょうか。その者が我々の実行部隊を返り討ちにしたそうです』

『戦闘にだけは長けた者達だったのですけどね。人の枠を超えた化け物には敵わなかったようです』

『なぜお前達はそこまでエクステンドを憎む?全てのエクステンドが悪というわけではないだろう』

『鉄朗様がそのようなことをおっしゃるとは不思議ですね。さあこちらへ』

『鉄朗様。再びあなたを我らスピッツベルゲンに迎えられることを誇らしく思います』


《組織を代表して君の力添えに感謝するよ。鉄朗様》


『あなたは一体…?』
『本当に記憶を失っているのですね。私の名はウォシャウスキー』
『その名前は…』

『心配しましたよ。あなたが我々に資金提供をした件でベリューレンの施設に送られたと聞いた時にはね』
『!』

『しかしこうして戻ってきてくださった!しかもハルモニエという世を覆す力を携えて!』

『資金提供?僕がスピッツベルゲンに?テロに協力していたというのか?』
『そのとおりです』
『ありえない…』

『いえ。あなたは父親の組織を裏切りテロリストに加担した犯罪者。それがあなたをあらわす客観的な事実なのですよ。鉄朗様』

『ヴィクターとか言ったか。お前俺がガンスレイブユニットだと分かってるのか』
『分かってるに決まってるだろ。僕は専属技師だぞ。何を言ってるんだ君は』

『そんなことより整備中は会話ができないからね。君の場合は表情も分からないし。もし痛みに耐えられない時は…そうだな…』

『銃…銃頭…そかそか。じゃあこうやって合図してくれ。助けてくれ~ってね』

メアリー『十三さん。大丈夫っすか?十三さん!』

『そんな顔して…』


『メアリー!お前それ…』
『それ?』

十三『いやな…反拡張主義を謳うスピッツベルゲンの奴らがエクステンドの巣窟みてえな九星窟に潜んでやがるとはな』
メアリー『だからこそ隠れるのにもってこいってことなんじゃないっすか?元々治外法権みたいなとこですし』

『にしてもよく十三さんが立ち入るのを九星会が許したっすねえ』

『奴らにしても縄張りでテロリストがでかい顔してるのを快く思ってねえってことだろ』

『そういやさっき…そんな顔してっつったか?まるで俺に表情があるみてえに言うじゃねえか』
『何言ってるんすか。あるに決まってるじゃないっすか』

メアリー『知らなかったんですか?』

メアリー『あっ!』
十三『よお!現れると思ったぜ』

『レフティどこ行ってたんすか』
『なぜ俺達に付きまとう?てめえ操ってるのはどこのどいつだ』

『十三さん。レフティには発声装置はついてないんすから話したりは…えっ?』

『てめえ…どうしてそれを』

『え?十三さんこれがどうかしたんですか?レフティ待って!』

メアリー『またヴィクターのところに誘ってるのかも…』
十三『フン。なら好都合だぜ』

十三『メアリー。お前はここで待ってろ』

『でもこの先にヴィクターが…』
『ヴィクターだけとも限らねえだろ。奴とケリをつけてえならそれまで無暗に自分を危険に晒す必要もねえさ』

十三『それと事を起こす前に言っておくぜメアリー。奴とのカタをつけるってことがどういうことか分かってるな』

『今日俺はお前の兄貴を殺すかもしれねえ。事と次第によっちゃあな今のうちに覚悟を決めておくことだな』

『…分かったっす』
『いい子だ』


『もう…』



十三『中身のねえ拡張体か。いい趣味してるぜ』


『残念だけど人質が捕らわれているのは別の場所だよ。ここは復興庁に目をつけられているからね』
『だろうな』

『変わらないな君は。十三番機。いや名前は変わったんだよね。今は十三』

『てめえは随分変わったみてえだなヴィクター。解体者だとかご大層な名で呼ばれてるそうじゃないか。なぜテロリストなんぞに加担してやがる』

『しかも俺に守れと依頼した妹まで危険に晒すたぁ一体どういう了見だ』
『あの時から随分経つのに君は本当に変わってないんだな。愚直とも言えるけれど素直に尊敬するよ』

『彼らに力を貸しているのは僕のしたことが招いた結果と言えるが…メアリーを巻き込んでしまったのは僕の本意ではなかった』

『ならこの手だけのエクステンド。こいつを操ってたのはてめえなのか』

十三『こいつを使って俺を呼んだのはてめえに何か助けが必要だったからじゃねえのか?』

『そうだね。僕もあの時君に依頼をしたあの時から何も変わってはいないよ十三。だから…』

『何と言いますか。いかにもテロリストの隠れ家といった佇まいですね』

『もう少し捻りがあってもよかったのでは?』

『てめえは復興庁の。つけてやがったか』

『やっとお会いできましたね。無論あなたはご存じないでしょうが私はこの瞬間を目にすることを夢見ていたのですよ。解体者ヴィクター。長年追い続けてきたあなたを捕らえるこの瞬間を』

アヴィ『ヴィクター・シュタインベルグ。32件の殺人および殺人未遂の容疑であなたを逮捕します!』


『えっ?』

『ご足労いただいたのに悪いがこいつはテロリストである前に俺の依頼人なんでな』

『乾さん。理解に苦しみますね。あなたは仲間を彼らに攫われた。つまり被害者のはずですなのに…』

十三『ああ。自分でもおかしなことをしてると思うぜ』
アヴィ『なるほどいいでしょう。あなたも我々にとって要注意人物であることに変わりはない』

『乾十三。あなたをテロ活動幇助および公務執行妨害の罪でEMS局長代理の権限をもって逮捕する!』

『シスチヴァススコペンドラ…』



『うっ…お前…俺をかばった!?』

『そ…そんな…』

『アハハハハハ!アハハハハハ…』

メアリー『十三さん!』
十三『メアリー!来るんじゃねえ!』

ヴィクター『待っていたよ』
メアリー『うっ!』

十三『メアリー!ヴィクターてめえ何のつもりだ!』
ヴィクター『これでいい。準備は全て整った』

十三『どうやらもう俺の知ってるヴィクターじゃねえようだな』
ヴィクター『それは違うよ。僕は何も変わってはいない』

『僕は知りたかったんだ。あの時からずっと。身体機能を拡張し人を超えた存在がその内に何を宿したのかを。だから…』

ヴィクター『拡張体の一つの極みである君のその体を解体したくて仕方なかったのさ!』

『俺をバラしてえなら好きにやりゃあいい。メアリーを巻き込む必要はねえだろ』
『それじゃあ駄目だよ…駄目なんだ。君にはハンズがいないじゃないか』

『ならば僕の求める君の本当の姿は君が命を懸けた瞬間にしか観測し得ない…』

『つまりメアリーを守ってくれっていう僕の依頼。今それを果たす時が来たってことさ。意味分かるよね?』

『俺が守ろうとしたのはてめえじゃねえ』

『俺が守ろうとしたのは』


十三『自分を見捨てたろくでなしの兄貴との再会を願い続けたメアリーの想いだ!』

『そして…言われるまでもねえ』

『今ここでてめえを倒しててめえの依頼、果たしてみせるぜ!』




つぶやきボタン…
理由があって敵側にいるけどほんとは妹想いのお兄ちゃん…というわけでもなかった!?
十三に本気を出させるために妹餌にしたってことじゃん…
十三にメアリー守ってと頼んだ時にはもう十三解体計画スタートしてたってことになるけど多分結構前からだよね
それとも最初はほんとにメアリーを守ってもらいたかったけど途中で狂ったか何かで今の目的が生まれてしまったのか
見た目も随分変わってるし中味も変わっていてもおかしくない?
十三に本気を出させるために妹餌にしたってことじゃん…
十三にメアリー守ってと頼んだ時にはもう十三解体計画スタートしてたってことになるけど多分結構前からだよね
それとも最初はほんとにメアリーを守ってもらいたかったけど途中で狂ったか何かで今の目的が生まれてしまったのか
見た目も随分変わってるし中味も変わっていてもおかしくない?
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「ノー・ガンズ・ライフ」第14話
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コメント…2020年夏アニメについて
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- 2020年07月18日 12:48
- ID:g..RBYbw0 >>返信コメ
- キョーミねー🙎
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- 2020年07月18日 13:30
- ID:vPqGg3BY0 >>返信コメ
- 毎週オリビエさんとメアリのダンスが楽しみすぎる
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- 2020年07月18日 14:31
- ID:3mJSoN5I0 >>返信コメ
- 間が空いた上にいろいろ込み入ってるから
話についていくのが大変。
でも面白い
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- 2020年07月18日 16:00
- ID:8XkIqJxX0 >>返信コメ
- いろいろメアリーも複雑な事情抱えてんだな
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- 2020年07月18日 18:00
- ID:.n8IEGD20 >>返信コメ
- アニオタのストレス耐性の無さよ
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- 2020年07月18日 18:24
- ID:fH7JxgWx0 >>返信コメ
- エンディングの女性陣がやたらエロすぎだろ
メアリーのケツがたまらん
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- 2020年07月18日 19:00
- ID:snAhJuZT0 >>返信コメ
- 十三さん表情無くてもわかりやすいよね。
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- 2020年07月18日 19:49
- ID:PIHSzT6T0 >>返信コメ
- しかしあらためてこのENDING 殴られっぱなしだな
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- 2020年07月18日 20:22
- ID:FLnRwnk30 >>返信コメ
- ヤンホモ怖い..
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- 2020年07月18日 20:44
- ID:CLK18e840 >>返信コメ
- え、なんでこんな人気ない?
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- 2020年07月18日 21:21
- ID:1F2R3tC50 >>返信コメ
- >>2
ああ全年齢で何処まで女性の全裸が見られるのか楽しみにしているガキか……
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- 2020年07月18日 22:02
- ID:L0UyKO5H0 >>返信コメ
- こ・これはッ!CITYHUNTERの1話だったのか!
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- 2020年07月18日 22:03
- ID:pO0y1wbA0 >>返信コメ
- レフティはヴィクターの唯一残った良心ってとこか
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- 2020年07月18日 22:23
- ID:FLnRwnk30 >>返信コメ
- メアリ―胸盛りすぎw
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- 2020年07月18日 22:27
- ID:oWuLUnnZ0 >>返信コメ
- 今回のメアリーさんのバストってパッド的なもので拡張してるの?
服装が変わっただけで単なる実力なの?
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- 2020年07月18日 22:28
- ID:AmBx6awA0 >>返信コメ
- >>16
次回のお楽しみやで>メアリーさんのバストの正体
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- 2020年07月18日 23:01
- ID:3HKxg4un0 >>返信コメ
- メアリーかわいい。レフティかわいい。
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- 2020年07月18日 23:08
- ID:zOJpN7dY0 >>返信コメ
- >>16
人体はああは変わらんだろう
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- 2020年07月18日 23:11
- ID:FLnRwnk30 >>返信コメ
- >>16
Bカップじゃなかった?
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- 2020年07月19日 05:37
- ID:aaUbeimp0 >>返信コメ
- >>16
アニキが無限ムカデ仕込んでるぐらいやから
妹もおっ◯いミサイルの1つや2つ仕込んでくるやろ
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- 2020年07月19日 13:25
- ID:nZFpTRiC0 >>返信コメ
- >>18
レフティ…レフト(左)を意味する単語に犬っぽい語尾をくっつけたのかな…?
可愛いには同意
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- 2020年07月19日 16:24
- ID:01irMZAO0 >>返信コメ
- 「エクステンドの存在は許せん! エクステンド技術の強化スーツでやっつけてやる!どーだ!3倍強いんだぞ!!」
のWスタンダードもさることながら、これだけ人間を部品扱いした世界で「殺人罪」てのもなんか今さら微妙な気がしたなw
お兄ちゃんの笑顔が失敗した黒ジャック先生wみたいで怖かった。
あれだけの技術があるんだからカッコイイ仮面つけようとか思わなかったのかな。
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- 2020年07月20日 03:20
- ID:J8cZEznU0 >>返信コメ
- でかい…
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- 2020年07月20日 12:56
- ID:u142qtF90 >>返信コメ
- というか左腕いつになったら直るんやろ?そこらへんに転がってるパーツじゃダメなんかな
メアリーもお手上げなくらい特注モノなんだろうか
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- 2020年07月20日 15:13
- ID:tz9KibxB0 >>返信コメ
- 今回の回想でもなんかいろいろ特製の身体みたいな感じ受けたし、
やたら変な腕つけるわけにもいかないんじゃないかな
とか言って次回あたり明らかなジャンク品つけたら笑うけどw
…コメントについて…
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どっちにもとれるから吹いた