第7話「繋がった記憶」
『あのHBSが世界各国でゲームバラエティー番組を制作するんだけど初回の舞台が恋花市なんですって。それでウチに業務提携を持ちかけてきたの!』
『えっ!?HBSってあのHBS!?バラエティー視聴率全米トップのアメリカ大手のテレビ会社じゃ…』
『例のKey独占インタビューがアメリカでも相当話題になったみたい。先方はプロデューサーにあなたをご指名よ』
『ウソ!?信じられない!』
『その記念すべき初回ゲストは…』
『ファーレイCEO!?』
『これでセット…。さすがアメリカを代表するテレビ局…』
『ファーレイの出資を受けている会社がこれくらいで驚くな』
「収録準備に入りますのでCEOこちらにお願いします」
『なめられるなよ』
「よく説得できましたね」
『HBSさんのお名前がありましたから』
「それで靡く人物ではないでしょう」
『我が社は企画力、交渉力では大手に負けない自信があります』
「この結果を見せられたら頷かざるを得ませんね」
(よーし!)
<実際はそんな甘いものではなかった>
<私はゼンに番組出演を承諾してもらうため見込める利益などを調査しながら資料を作成し>
<提出しては突き返され バカと罵られる日々を繰り返した>
<そしてHBSと交わした交渉期限ギリギリの日>
『分かった。出演しよう』
『本当ですか!?ありが…』
『後になって気が変わったりとか…』
『俺の言葉はどんな契約書より確実だ。元よりこのオファーは受けるつもりだった』
『この出演がファーレイにとってプラスになるのは火を見るより明らかだ。HBSのこともこちらで調べた。気になることもあったしな』
『じゃあなんで…』
『どこまで粘れるか試させてもらった。この経験は必ず他でも役立つはずだ』
(絶対に番組成功させてやる…!あとできればゼンがゲームで恥ずかしいところを…!)
「あの…大丈夫ですか?」
『はい』
「事前にご確認いただいていると思いますが番組はこの建物内から頭脳と体力を使って脱出していただく内容になってます」
『なんだろう…すごく圧迫感があるというか怖い感じがしますね…』
「今回はセット内には高性能カメラのみ配置されスタッフは1人もいません」
『1人も?』
「百聞は一見にしかず。CEOが準備している間に体験してみませんか?」
『私がですか?』
「流れを把握していた方が何かと安心では?」
『そう…ですね』
<この時の感覚が予知だったのか 失われた過去の恐怖だったのかは分からない。ただ1つ確かなのはその正体から逃れる術は無かったということだ>
<この世界には特殊な能力EVOLを持つ者が極少数ながら存在する。これは己が運命に抗い 世界と戦う若きEvolverたちの物語である>
「どうぞ中へ」
『あの…私やっぱり…』
「大丈夫ですから。さぁ!」
『もう始まったんですか?』
「フッ」
『ちょっと待ってください!ねぇ!』
(ここから脱出するってこと?)
『なに…今の…』
(ここから出して…誰か…)
(ゼン!)
『ゼン…』
『バカか。迷子の子どもじゃあるまいし』
『どうしてここに?』
『俺も閉じ込められそうになった』
『どういうこと?収録は?』
『この番組が放送されることはない。オファーを受けるべきじゃなかった』
『ちょっと待って!全然分からない!』
『話はここを出てからだ』
『なに?』
(また…)
『本物?』
『心配ない』
『ここって…』
『どうした?』
(また…)
『この部屋…この建物…私全部知ってる…』
『いけるか?』
『うん』
(全てはあの時と同じ。なぜだ?)
『危ない!』
『もう二度とお前を手放しはしない』
(これからは俺がお前の盾になる)
「うわぁぁああああ!」
『もういい加減 泣き止めよ』
『美味しいお菓子あげるから』
『お菓子?』
『明日持ってくる』
『ゼン…』
『起きたか』
『医者を呼んでくる』
「経過は良好です。1週間後には退院できますよ」
『そのことで相談があるのですが』
『そこまで酷くないって』
『だが色々と検査が必要らしい。少なくとも2週間はここにいるつもりでいろ』
『そんなに?』
『1週間も眠ってたんだ。我慢しろ』
『ずっといてくれたの?』
『当たり前だ。こうなったのは俺のせいだからな』
『あの拉致事件の時 私たち一緒にいたのね』
『思い出したのか?』
『ゼンのことをほんの少しだけ。でもどうしてHBSが…』
<グゥー>
『ごめんなさい…』
『しばらく眠っていたんだから当然の反応だ。食べながら話そう』
『フライドチキンが食べ…』
『ダメだ』
『これ作ってくれたの?わざわざ』
『いいから早く食べろ』
『うっ…!』
『えっ?』
『食べたくなければいい』
『た、食べます!食べます!』
『美味しい!』
<ゼンはこれまでの経緯を簡単に話してくれた>
<17年前 施設から救出された彼はその日から今日に至るまで離ればなれになった私を探しながら犯人の正体を追い続けていた>
<そして拉致事件の裏にブラックスワンという組織がいたこと、現在はHBS最大の出資者になっていることを突き止め>
<さらなる手掛かりを得ようと今回の出演の依頼を受けたのだ>
『つまりこの前の撮影はゼンの狙いを知ったブラックスワンが罠を仕掛けたってこと?』
『そこが引っかかっている。俺を狙うだけならあそこまで手の込んだ真似をする必要はない』
『私…?』
『それを考えた。だがお前が狙いだったならこうして今会話ができているのはおかしい』
『じゃあ何のために…』
『17年前を忠実に再現することでヤツらは何をしようとした?あの件で何が変わった?あそこで何が起こった?』
『記憶が戻った…』
『力が暴走した』
『暴走!?』
『お前が気を失ってる間 力の制御が効かなくなった。感情の昂りはあったにせよ 初めてのことだ』
『はっ』
『前に同じようになった人を見た。その人も自分に何が起こっているか分からない感じで』
『それはどういう状況だった?』
『私が殺されかけた…』
『お前は何も考えずゆっくり休め。全て俺に任せろ』
『ちょっと待って』
『いいから大人しくしておけ』
『えっ!?会社でHBSに抗議したの!?』
『当たり前じゃないですか!大事な社長が怪我させられたんですよ!?』
『そうしたらファーレイのCEOが間に入ってきて』
『ゼ…CEOが?』
『小企業のウチよりファーレイが交渉した方が色々都合がいいだろうって。しかも最近治安が良くないからってビルに警備員まで配置してくれたの』
『後で私のタブレットを持ってきてくれる?』
《もしもしキラ?》
『おめでとうポテチ姫。今日退院だよね?』
《それが1週間延びちゃったの。まだ検査残っちゃってるみたいで》
『そっか…』
『じゃあいっそこの機会にゆっくりしちゃいなよ。今までずっと頑張ってたんだから』
『そうできればいいんだけど…』
『そうだキラにも話しとかなきゃ。前に閉じ込められた時の写真 あれ私が拉致された場所だった』
『どうして…』
『思い出したの。断片的にだけど』
《キラ、リハ始まるぞ》
《ごめん行かなきゃ》
『うん。とりあえず今は安全だから心配しないで。今度直接会って話そう』
『分かった。絶対無茶しちゃダメだよ』
『怒りは精神面だけじゃなく健康面にもダメージを与えるらしい』
『だって2回目よ!?』
『ほら見て。今日ベランダに咲いてたんだ』
『綺麗な桔梗。普通ならこの時期には咲かないよね?』
『ちょうどお見舞いに来る日にだなんて小さな奇跡発見だ』
『ごめんなさい。せっかく来てくれたのに。この前だって色々気を遣ってくれたのに。一刻も早くブラックスワンの狙いを突き止めたくて』
『その気持ちは決して揺らがないんだね』
『むしろ前より強くなってる』
『ああして閉じ込めることが彼女のためになると?』
『部外者は黙っていてもらおう』
『いくら逃げようとも真実は向こうから手を伸ばしてきます。決して止めることはできない。あなたの力でも』
『俺のやり方が気に入らないか?』
『怖いの…すごく…』
『俺に任せておくのがか?』
『そうじゃない。当事者なのに何も知らないままでいることが怖いの』
『少し外に出よう』
『綺麗…』
『不安を取り除きたい時 こうして街を見下ろしこれまで自分が成し遂げてきたことを思い返す』
『あなたは何不自由なく何でも思い通りにできる。不安なんて無縁だと思ってた』
『仕事や生活の話じゃない。今 俺が不安なのはお前を守れるかどうかだ』
『17年前 俺はお前に助けられた。今度は俺が守らなければいけなかったのに』
『事件以外にもう1つ思い出したことがあるの。小さい頃 私を事故から助けてくれた子のこと』
『あなただったのね』
『確かに私はあなたを助けた。でもそれより前に私はあなたに助けてもらってた。守ってもらってた』
『お前に慰められるとはな』
『私のしようとしていることがどれだけ危険なのかは分かっている。きっとあなたに守られていれば危険を感じずに済んだと思う。それでも私はあなたの背中に隠れていたくない。それは私じゃないから』
『そうだったな。お前はそういう人間だ』
『だから俺は…』
『私 中身分かるよ。プリン』
『えっ?』
『ほら』
『どうして…』
『昨日見えた。作ってくれたんだよね』
『美味しい!今まで食べた中で一番!』
『美味しい。やっぱり一番だ』
『人を探している。その手掛かりを得られる可能性があった』
(17年…17年もずっと…)
(ゼンは私を気にかけてくれてたんだ)
『久しぶりの我が家!』
『ん?』
(対策局。Evolverのことで何かあったのかな?)
(なに!?)
<私の知らぬ間に傷付けていた人がいたなんて>
<信じていたことが崩れ去った時 強くなる決意を固めたんだ>
<第8話”404号室”>
つぶやきボタン…
企画がお蔵入りになった代わりに忘れていた記憶を思い出せたみたい
度々出てきている17年前の拉致事件の真相が明らかになりつつあるのかな
とりあえず幼い頃のゼンさんとの繋がりが思い出せただけでもいいってことで
ただ、ブラックスワンがこうして仕掛けてきたのも何か理由があるっぽい
わたしちゃんの身に危険が迫った時に能力が暴走する件と関係があるのかな?
これが目的かどうかは分からないけど予知の力も強くなってきてるみたい
ハク先輩の身に何か起きるみたいだけど果たして大丈夫なんだろうか…
度々出てきている17年前の拉致事件の真相が明らかになりつつあるのかな
とりあえず幼い頃のゼンさんとの繋がりが思い出せただけでもいいってことで
ただ、ブラックスワンがこうして仕掛けてきたのも何か理由があるっぽい
わたしちゃんの身に危険が迫った時に能力が暴走する件と関係があるのかな?
これが目的かどうかは分からないけど予知の力も強くなってきてるみたい
ハク先輩の身に何か起きるみたいだけど果たして大丈夫なんだろうか…
恋とプロデューサー~EVOL×LOVE~ 7話 感想
ヒトコト投票箱 Q. 幼い頃に食べたお菓子の味は… 1…覚えている
2…覚えていない
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シモン:平川大輔
movic
2020-10-30
コメント…2020年夏アニメについて
-
- 2020年09月05日 22:10
- ID:IKhBXpfg0 >>返信コメ
- 枕ポカポカわたしちゃんかわいい
-
- 2020年09月05日 22:27
- ID:w.DVw4yp0 >>返信コメ
- CEOは好きな女の子をいじめるタイプ?
わたしちゃんに会いたいのなら素直に言えばいいのに
優しい目で「バカ」と罵ってるんだろうな
-
- 2020年09月05日 22:40
- ID:mSoUcptO0 >>返信コメ
- わたしちゃん可愛いから見てるが野郎どもがけっこう魅力的なんだよな
男からみてもCEO、ハク先輩、キラの3人はわたしちゃんにもう付き合っちゃえよって言いたくなるくらいだ
シモンだけは敵組織所属というのを差し引いてもなんか怖いからちょっと…
-
- 2020年09月05日 23:27
- ID:w.DVw4yp0 >>返信コメ
- >>3
桔梗の花言葉は永遠の愛らしい
シモンからは組織とか関係なく犯罪の匂いしかしない・・・
-
- 2020年09月06日 02:19
- ID:vbF..2750 >>返信コメ
- ポテチ姫(わたし)、実は最強の能力者?
しかし、連行したサイキッカ―?達は、全員処刑とか、旧エヴァの戦略自衛隊(投降したネルフ女性スタッフを射殺又は火炎放射機で丸焼き)の末裔か?
-
- 2020年09月06日 02:38
- ID:bi1aIueN0 >>返信コメ
- わたしちゃんに「あーん」するのもいいな
CEOに餌付けされてるw
-
- 2020年09月06日 03:00
- ID:TqmtFYds0 >>返信コメ
- 「わたしちゃん」は常に全盛期よ
-
- 2020年09月06日 06:49
- ID:qTecHoJ10 >>返信コメ
- ヒロインがCEOを「ゼン」って呼んでいたけどいつの間に親しくなったの?
昔を思い出して勝手に名前呼び?
-
- 2020年09月06日 09:43
- ID:jZus43Bm0 >>返信コメ
- ロリわたしちゃん強力すぎる~w てかあの歳で一体何人の男を手玉にとってるんだ
しかしブラックスワン、目的がイマイチよくわからんけど、17年経ってもほぼ変化ナシって案外ポンコツな組織なのでは・・・
わたしちゃんの覚醒に年齢制限があってずっと待ってたとか??
-
- 2020年09月06日 12:17
- ID:zYqLy4HF0 >>返信コメ
- わたしちゃんも戦ってくれ!格闘アニメなんだから
-
- 2020年09月06日 13:41
- ID:TVBHXFD50 >>返信コメ
- わたしちゃんの喜怒哀楽が見てて楽しいので
全肯定するよりもCEOみたいな接し方の方が色々な感情が出て好み
-
- 2020年09月06日 15:35
- ID:cEn0QwRt0 >>返信コメ
- サブタイ「繋がった記憶/相连的记忆」改め「逃走中」
ゼンCEO(李总)と絡むのが一番面白い。脚本が走ってギャグも冴える
わたし「じゃあなんで/为什么」わたしちゃんに毎日会う口実だろw
ゼン「バカか/笨蛋」ナチュラルにバカって言った
わたし「ゼン/李泽言」無意識に名前呼びからの、わたしちゃん瞬間移動?
わたし「フライドチキンがた/我想吃炸鸡」ゼン「ダメだ/不行」速攻で禁止w
→ゼン『フライドチキンと言えばKFC(肯德基)、KFCと言えば朝粥、そうだお粥にしよう』ですね分かりますw
わたし「おいしい/太好吃了」はいはいごちそうさま。もっとやれw
ゼン「お前はそういう人間だ/你一直就是这样的笨蛋」甘々ボイスでバカ。CEOデレまくり
-
- 2020年09月06日 18:05
- ID:eRlQF.0v0 >>返信コメ
- おかしいな……。
つい数週間前まではハク先輩こそわたしちゃんとくっ付くべきだと心底思っていたのにここに来てCEOが物凄い追い上げを見せているな。キラもキラでハッカー回で良い味出していたから、誰とくっ付いても違和感なく祝福できそうな気がする。ただしシモン、てめーは論外だ。
-
- 2020年09月07日 00:20
- ID:67UR4l4l0 >>返信コメ
- 顔の方に目が向きがちだけど
わたしちゃんは脚のラインがきれいなんですよね
次回は脚アングル多めでお願いしたい
-
- 2020年09月07日 03:03
- ID:uYVJxSBK0 >>返信コメ
- >>13
その気持ちよくわかる
CEOと先輩で迷ってしまう
キラは可愛い弟って感じかな
シモンは……わたしちゃん、早く逃げて!
-
- 2020年09月07日 13:05
- ID:hoPO.FnQ0 >>返信コメ
- CEOちゃんがまだ20代だと知って驚愕した
-
- 2020年09月10日 15:24
- ID:0XHariIU0 >>返信コメ
- わたしちゃんぐうかわ
…コメントについて…
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