第20話「絵空事」
脚本:菅原雪絵 絵コンテ・演出:渕上真 作画監督:西川千尋・Drmovie
ウォシャウスキー『さぁ。私のためにその男の力を解き放ってくれ』
『鉄朗様の体はこちらの手にある。大した抵抗はできまい。できるだけ無傷で捕らえなさい。多少の躾はやむを得ないがね』
『まさかこういった形で貴様との再戦が叶うとはな』
『獲物はガンスレイブユニットとはいえ子供相手に何をてこずっているんだ』
『ならお前も行くがいい。功木よ』
ウォシャウスキー『愚かな子供だ。身の上を憐れに思い手を差し伸べてやったものを。やはりなんとかしてハルモニエを摘出する以外に手立てはないか…』
鉄朗『静かに。人を呼べば椅子につながれた生命維持装置のコードを抜く』
ウォシャウスキー『確かにハルモニエは今も起動している…あなたは今十三番機の中にいるはずだ』
『ハルモニエでハッキングしているのは僕自身の補助脳だ。十三は始めから操られてなんかいない!』
『貴様…あの小僧に操られていたのではなかったのか!?』
『あいつはな。俺にてめぇの落とし前をてめぇ自身で着けるために力を貸してくれと言いやがった』
十三『これまでは俺に手を引けって願いばかりしてきたあいつがてめぇの弱さを認めた上で俺の前を歩くって言いやがったのさ!』
『ったく。ガキが偉そうに言うようになったもんだぜ!』
鉄朗『僕にはどうしてももう一度あなたと二人で話しをする必要があったんだ。さぁ。交渉を始めようか。ウォシャウスキー博士』
鉄朗『僕からの要求はただ一つ。あなた達スピッツベルゲンには今後一切のテロ活動をやめてもらう』
『ふふふふふ…ははははははは!』
ウォシャウスキー『それは交渉と言うにはあまりにも…ふふふふふ…』
『いや失敬。今のスピッツベルゲンの存在意義すら奪いかねないその要求の見返りは?それに見合うだけのものをあなたに用意できると?』
ウォシャウスキー『私にはとてもでもないがそうは…』
鉄朗『僕だ。僕の身柄をあなた達に引き渡す』
鉄朗『あなたが僕に求めたのはセブンの排除だ。僕ならハルモニエだけでガンスレイブユニットを無力化できる。十三の力は必要ない』
『ふん…素晴らしきは自己犠牲の精神、と言うべきですかな?』
『どうやらテロに加担したという罪悪感からそういった考えに至られたようだが』
『僕は誰も犠牲にするつもりはない。僕自身もだ』
『それはまた美しき理想ですな』
『僕はベリューレンCEOの息子である荒吐鉄朗としての記憶は失っているが彼らが裏で行ってることはよく知っている。あんな非道な実験は一刻でも早く止めなければならない』
『だからその身を差し出すと?』
『協力だ!セブンを倒すまで。ベリューレンの罪を暴き打ち倒す方法はテロ以外にもあるはずだ』
『スピッツベルゲンにはその新たな方法を考えてほしい』
『あなたが先日五体満足で解放されたことはとても幸運なことだったのですよ』
ウォシャウスキー『組織の中にはあなたをベリューレンへの見せしめとして殺すべきと主張する者や取引の材料としようとする者も多い。さて。そんな彼らがあなたの言葉に耳を傾けますかな?』
『とうに覚悟しておられるか…だがあなたは何もわかっていない。反拡張主義者がなぜテロ行為に走るのか。それは他に方法がないからだ』
『ベリューレンはあの大戦を経てこの国を半ば支配している。政府はただ犬のように従い報道は偽りを流し経済はエクステンドを支援する。ではその力の行き先は?なぜ非人道的な研究の数々を行っているのか考えられたことはありますかな?』
『それは…』
『はぁ…そういえばまだ申しておりませんでしたな。私がスピッツベルゲンにいる理由…いや、この組織を作った理由を』
『作った…?あなたが?』
『ええ。ベリューレンを、そして拡張技術の本来の姿を取り戻すために。かつてあなたが生を受けるより以前ベリューレンは純粋な研究開発を目的とした機関でした』
ウォシャウスキー『ベリューレンを創設したヴルツェルと呼ばれる幹部達。CSOストレンジ、CTOドリーミー、CMOティミット、そしてCOOオネスト』
『私は彼らの下で働く一技術者だった。この世界に抗い人が人として生きるために拡張技術開発に従事していたのです』
『そして…それはヴルツェルの中心であるオネストの想いでもあった』
『だが…長い年月は少しずつ、しかし確実に人の姿と思想を変質させていく』
『生きるための研究が次第に死なないための研究に』
『そしてその資金調達が彼女達の目的になっていった』
『ベリューレンは生にしがみつく醜悪な老人達の巨大な生命維持装置になってしまったのですよ』
鉄朗『ならばCEOの荒吐総一朗は、違法な人体実験を強いていたのは僕の父ではなかったのか!?』
ウォシャウスキー『彼は、いや彼の名は何代にも渡ってヴルツェルの表の顔として利用されてるに過ぎない。君の父親は今もオネストの管理下にあるはずだ』
ウォシャウスキー『戦後…ヴルツェルの支配するベリューレンから逃れた私はスピッツベルゲンを組織した。ベリューレンを外部から監視し警鐘を鳴らすためだ』
ウォシャウスキー『しかし…エクステンド犯罪の被害者が中心だったその組織も社会へ不満を抱く者達の吹き溜まりに。当初の理念は捻じ曲げられてしまった』
ウォシャウスキー『今や拡張技術の根絶を掲げるテロ組織だ。残念ながらもはや私にも今のこの組織を押しとどめることはできない。だがまだ抗う術はある!そのために必要なのがガンスレイブ十三番機なのだ』
『まだだ…まだ勝負はついておらんぞ!冒涜者め!』
『なんでもいいけどよ。装備は改良したみてぇだが中身は生身なんだからよ。これ以上やるっつーなら命の保証はねぇぞ』
十三『今のは…?』
『うおっ!』
功木『俺は弾丸に仕込んだ針でトリガーポイントを突き対象のエクステンドに任意の状態異常を及ぼすことができる』
十三『悪いけどよ…そいつはどっかで聞いたことのある技だな…』
『ああ。思い出したぞ。エクステンドでありながらクローネンとなれ合っているおかしな奴だ。出来の悪い弟弟子にも困ったもんだ』
『功木!あの小僧はこの男を操ってはいない!小僧の中身は老公の元にいるのだ!』
『そうか。そんな気はしていたよ。他人が操ってるにしてはその男の神経系は淀みがなかったからな』
島津『功木!貴様!わかっていたならなぜ老公の傍を離れた!?あのお方を守ることが貴様の務めであろう!』
功木『ハルモニエを封じられた子供一人相手ならあの老人の敵ではない』
功木『このエクステンドを足止めしていればいい』
十三『うおっ!俺を…足止めだと…』
『わかってねぇみてぇだなお前ら…足止めしてるのは…俺の方だっていうのがよぉ!』
『まだ動くのか。クローネンの手に負えんのも道理だな』
『あいつはハナから俺の力なんざあてにしちゃいねぇさ。ただの拳じゃできねぇことをしようとしてんだ。その邪魔はさせねぇぜ!』
ウォシャウスキー『乾十三と呼ばれるガンスレイブユニット十三番機を私が求める理由、それは奴がベリューレンが唯一管理する七番機・セブンを打ち倒すことこそがオネスト達ヴルツェルを真に打ち破ることに他ならないからだ』
『…どういう意味だ?』
『私が唯一全ての製造工程に携わったあの十三番機には他の十二体のガンスレイブユニットとは大きく異なるある設定が仕込まれている。そしてその設定の差こそが私と彼らの思想の差と言っても過言ではない』
『おそらくこの意味が理解できるのはオネスト達、いやオネストと私だけだろう。それが重要なのだ』
ウォシャウスキー『オネスト達の妄執を破りその力を奪うことでベリューレンの、拡張技術の本来の有り様は取り戻せるだろう。そうなればテロ活動の沈静化も夢ではない』
『おわかりいただけましたかな?十三番機が必要な理由を。ハルモニエで操り真の力を解放させた十三番機こそ新たな平和をもたらす鍵なのです』
『十三番機の尊い犠牲こそがあなたの理想を叶えるのですよ。鉄朗様』
『!』
ウォシャウスキー『組織を代表して君の力添えを感謝するよ』
ウォシャウスキー『鉄朗様』
『そうか…あの時の僕はベリューレンを正すためにあなたの手を取ったのか』
鉄朗『記憶を失くした僕は自分がどんな人間かわからずだからいつも無茶をして周りの人に迷惑をかけてしまった。でも…あなたのおかげで僕は過去の自分を知り乗り越えることができる』
『今の僕は…理想のために誰かを犠牲にする、なんて簡単に言ってしまえる人の言いなりにはなれそうもない』
『博士。誰も犠牲にせず理想を叶えることを僕は諦めたりしない』
『だから十三に、僕の仲間に手出しはさせない!』
『フッ…ここまで阿呆だったとは。これ以上の問答には意味がないようだ』
『ハルモニエの適合者を探すのは骨だが止むをえまい』
『あなたの首を手に入れハルモニエを回収させていただきましょうか!』
『エクステンド…だったのか!?』
『言ったはずですよ。私はこの世界に抗うために拡張技術を生んだのだと。さぁどうします?十三番機に助けを求めますかな?』
『老人の神経ではこの体の力は御しきれないがエクステンド法によって出力制限がなされた通常の拡張対程度をあしらうのは造作もない』
『私にハルモニエを使えれば勝ち目はあったかもしれませんが』
『私がロックを解除しない限りハルモニエは現状を保持、つまりあなたの補助脳にかけられたまま』
『どうした?その体であの少年を守るつもりか?』
『守る…?確かに俺はあいつと約束したがそれはあいつが自力で歩けるようになるまでの話さ』
『だが…まぁやることは大して変わらねぇ』
『お前らが満足するまで…俺がきっちり付き合ってやるからよ!』
『どれだけ美しい理想を並べようともこれが現実なのです。どんなに崇高な目的を持とうとも戦いは血が流れ弱き者は奪われる』
『わかっている…自分の言っていることが理想論だっていうことは…』
《てめーの命も張らずに語る正義なんてもんは絵空事でしかねぇんだよ》
『ふっ…全くその通りだ十三…』
『意識が混濁しているようですな。今ここに十三番機はいません。あなたに抗う手立てはないのですよ。鉄朗様』
『でも…それでも…!』
『絵空事とわかっていても…その空の美しさに焦がれるなら…!』
『この命を懸けて…掴んでみせる!』
つぶやきボタン…
ハルモニエのロックを自力で解除した!?
鉄朗が成長する主人公、十三がそれを見守る大人という構図だ
ウォシャウスキー博士の言ってることも間違ってないとは思うけど…
真の力を解放したら絶対に十三が犠牲になってしまうのかな
博士なんでそんな姿になったん…?
鉄朗が成長する主人公、十三がそれを見守る大人という構図だ
ウォシャウスキー博士の言ってることも間違ってないとは思うけど…
真の力を解放したら絶対に十三が犠牲になってしまうのかな
博士なんでそんな姿になったん…?
「ノー・ガンズ・ライフ」第20話
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コメント…2020年夏アニメについて
-
- 2020年09月01日 10:21
- ID:2FHQ2e2d0 >>返信コメ
- 拡張技術に群がる欲望……そして戦争により研究が進み影も出た
-
- 2020年09月01日 10:27
- ID:gCUzMYLQ0 >>返信コメ
- 爺さんキモすぎ。
あんなのに遭遇したら腰抜かすわ。
-
- 2020年09月01日 10:29
- ID:CxDuvRmZ0 >>返信コメ
- ヤマカンは無能
-
- 2020年09月01日 11:07
- ID:5qMhDgen0 >>返信コメ
- 四足歩行のエクステンドってエンデ以来?
-
- 2020年09月01日 11:21
- ID:C1ZUZedU0 >>返信コメ
- これが人面犬なのか・・・
-
- 2020年09月01日 11:56
- ID:2FHQ2e2d0 >>返信コメ
- >>3
無能と言っている奴程画もシナリオも売れるモノができない奴
-
- 2020年09月01日 12:28
- ID:WoERiEnL0 >>返信コメ
- >>1
盗撮おじさん「まったく嘆かわしいことだな」
-
- 2020年09月01日 12:59
- ID:hPWnZwaF0 >>返信コメ
- 本気出したジジイ予想外にキモかった。ムキムキ系を期待してたんだが。
-
- 2020年09月01日 13:05
- ID:.zBznUXz0 >>返信コメ
- そんな都合よくロックが解除できるとも思えないし
ハルモニエを介して自分自身を操ることで
火事場の馬鹿力を意図的に出すとかそんな感じじゃないかな
-
- 2020年09月01日 14:56
- ID:cTQsWzVM0 >>返信コメ
- 成長したね鉄朗
-
- 2020年09月01日 18:58
- ID:XmPjtCtG0 >>返信コメ
- メアリーがロック解除を仕込んでくれたのかな?
今回ほのめかされた 十三の「真の力」みたいなの、見てみたい。
-
- 2020年09月01日 20:46
- ID:XDX8eIjI0 >>返信コメ
- メカ人面犬というか、サイボーグ人面犬というか・・・・・wwwww
過激な事を起こす重要人物が生命維持装置付きの車椅子にただ座ってるわけがない。
強い手持ちの札とカードは常に用意しておくのが勝負の定石だし
-
- 2020年09月01日 21:10
- ID:zfZtG4BX0 >>返信コメ
- 13は解放し 鉄郎は強くなる
今更ながら11 12 13 ということに気が付いた阿呆です
-
- 2020年09月01日 22:38
- ID:5qMhDgen0 >>返信コメ
- >>13
?どういう事?
-
- 2020年09月01日 22:40
- ID:kNp8Zkor0 >>返信コメ
- >>14
乾
つまり戌亥 犬と猪
11番目と12番目の干支の動物
そして十三
-
- 2020年09月01日 23:16
- ID:4ivfCNEd0 >>返信コメ
- >>11
ヴィクター戦でその片鱗みたいな描写あったよなぁ確か
中身がどこまでも機械で生身が無いような得体の知れない十三の中身とか欠損した腕の再生とかとんでもない謎の機構満載だったよな
十三って偽ヴィクターみたいに補助脳が本人から分離して1人歩きしだした特殊個体か、もしくは拡張手術受けた元人間じゃなくて体そのものが全部拡張体で出来てる人造人間的な存在なのかなとか勝手に推理してる
前にエクステンドになる前の記憶全く無いって言ってたし、それって人為的に作られた存在だからなんじゃあって思った
-
- 2020年09月01日 23:34
- ID:0wM7FsEk0 >>返信コメ
- >>8
必要な機能だけ追及したらああなったんでしょう
-
- 2020年09月02日 19:32
- ID:sJnMxUNF0 >>返信コメ
- >>15
じゃあセブンに異名つけるなら
5 6 7で
辰巳ナナになるのか
-
- 2020年09月02日 20:25
- ID:bogdAC380 >>返信コメ
- >>16
まあ たしかに、そもそも頭がアレなんだからw
両腕無くなった上に、体の中身があんなトンデモ格納庫になってたら、「脳ミソは何処にあるねん?」状態だよねー
-
- 2020年09月02日 20:35
- ID:yhlMvV4A0 >>返信コメ
- >>19
盗撮ジジイは何を見たんだろうなw
-
- 2020年09月05日 00:15
- ID:c8OY48j30 >>返信コメ
- ヴルツェルが生にしがみつく拡張技術の怪物になったのだとして
何のかんの言っても博士も同じなんだよなぁ
…コメントについて…
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